この記事は建物の基礎にひびが入った際に地震保険が適用された時の内容です。先日、地震保険について基礎のヒビ割れでも保険がおりる可能性があるという事を知って実際に保険がおりたので、もし心当たりある方は参考にしてください。
- 基礎のひび(クラック)とは
- 地震保険では基礎の小さいひびでもカウントされる。
- 地震保険の損害対象
- 基礎のひび割れの計算の仕方
- 気になる地震保険の補償内容
- 地震保険で注意する事
- 基礎にひびが入った時の地震保険についてまとめ。
基礎のひび(クラック)とは
この写真を見てください。
家の基礎部分にひびが入っていますね。専門用語?で言うとクラックと呼ばれるひびです。コンクリートやモルタルはこのクラックとは避けて通れない関係にあると言っても良いぐらい、時間が経てば必ずどこかには発生してると思います。コンクリートの収縮もしくは外的要因(地震等)によっていつかは発生してくるものだと思います。
地震保険では基礎の小さいひびでもカウントされる。
そもそも建築関係の仕事をしている私から見ればこんなひびは大した事ないと思っています。その思いもあり、まさかこんなひびが地震保険の対象になるなんて思っても見ませんでした。(気になる方はコーキング剤(シール剤)を打てば良いぐらいです。)地震保険の考え方では基礎の短いヒビでも1mとカウントされるようです。 なので写真のヒビ実際は20cmぐらいですが、1mとカウントされます。あまり近いと一つとしてカウントされます。(1m以内にある2つのヒビは1つとカウントされるようです。)
地震保険の損害対象
地震保険の保険対象になるかどうかの計算は独特で、基本的には建物の被害が全損、大半損、小半損、一部損のどれに該当するかによって支払われる保険金が変わってきます。基礎のひび割れ数カ所ではおそらく認められても一部損ですが、一応認定基準を載せておきます。この認定基準は一般社団法人日本損害保険協会が制定した「地震保険損害認定基準」です。
- 全損・・・地震等により損害を受け、主要構造部(基礎、柱、壁、屋根等)の損害の額が、その建物の時価額の50%以上となった場合、または焼失もしくは流失した部分の床面積がその建物の延床面積の70%以上となった場合
- 大半損・・・地震等により損害を受け、主要構造部(基礎、柱、壁、屋根等)の損害の額が、その建物の時価額の40%以上50%未満となった場合、または焼失もしくは流失した部分の床面積がその建物の延床面積の50%以上となった場合
- 小半損・・・地震等により損害を受け、主要構造部(基礎、柱、壁、屋根等)の損害の額が、その建物の時価額の20%以上40%未満となった場合、または焼失もしくは流失した部分の床面積がその建物の延床面積の20%以上50%未満となった場合
- 一部損・・・地震等により損害を受け、主要構造部(基礎、柱、壁、屋根等)の損害の額が、その建物の時価額の3%以上20%未満となった場合、または建物が床上浸水もしくは地盤面より45cmを超える浸水を受け、建物の損害が全損、大半損、小半損に至らない場合
これが認定基準です。正直時価額の3%以上20%未満と言われてもわかりませんよね。ましてや基礎の部分だけで考えてもわかりません。次で詳しく説明していきます。
基礎のひび割れの計算の仕方
まず基礎については外周布コンクリート長さに対して損傷布コンクリート長さがどれだけかの割合を計算します。損傷布コンクリート長さはひび1箇所につき1mとカウントされます。なので例えば4箇所先ほどのようなひびがあれば4mとカウントされます。
まずは物理的損傷割合を上記の表の右側の計算で求めます。基礎の部分は損傷布コンクリート÷外周布コンクリート長さです。この割り算の式で出てきた割合で表の左側被害の程度(物理的損傷割合)のどの区分に当てはまるか決まります。基礎の部分は損傷布コンクリート÷外周布コンクリート長さが5%以下なら①の欄を見ます。2階建木造在来工法の場合5%以下の①なら損害割合が2%になります。もし2%なら保険はおりません。一番低い一部損でも損害の額が建物の時価額の3%以上20%未満の場合です。ですので2階建木造在来工法であればその下の段である②〜⑤に該当しなければなりません。②〜⑤も細かく分かれていますが今回はその説明を省略します。とりあえず、2階建木造在来工法であれば基礎だけの被害の程度が5%を超えなければなりません。つまり損傷布コンクリート÷外周布コンクリート長さの答えが5を超えていればオッケーです。少数などの扱いがどうなるかわかりませんので余裕を見とく方がいいと思いますが、割と数カ所でこの数値を超えると思います。(大きい家に住まいの方はそう簡単ではないかもしれません。)例えば7m×8mの1階床面積が56㎡の2階建木造在来工法の家があったとします。外周布コンクリート長さも計算の仕方あるみたいな事が他のサイトに載っていましたが、普通に計算してみます。7×2+8×2=30mもしひびが4箇所なら4mとなるので4m÷30m=0.133...なので13%。クリアですよね。もしひびが2箇所なら2mとなるので2m÷30m=0.066...なので6.6%です。これもクリアです。すごくハードル低いですよね。
気になる地震保険の補償内容
- 全損・・・建物の地震保険金額の全額(時価限度)
- 大半損・・・建物の地震保険金額の60%(時価の60%限度)
- 小半損・・・建物の地震保険金額の30%(時価の30%限度)
- 一部損・・・建物の地震保険金額の5%(時価の5%限度)
今回は基礎のひびでしかも一部損についての話なので一部損の話だけにしておきますが、一部損の場合建物の地震保険金額の5%です。そして地震保険は火災保険とセットでしか入れず、保険金額は火災保険の30%から50%の間になります。ですので1400万円の火災保険をかけていたとして、地震保険は最大の700万円が限度額になります。そして一部損が認められれば700万円×5%で35万円の補償がでるという事になります。
地震保険で注意する事
これまで説明してきたのでだいぶハードルは下がったと思いますが、ここで注意する事を最後に書いておこうと思います。まず地震等が発生した日の翌日から10日を経過した後に生じた損害に対しては、保険金支払い対象外となります。そして保険金請求権は翌日から起算して3年を経過した場合は時効によって消滅します。この2点を気をつけてください。ですので地震が起こった場合は、早めに損害を確認しましょう。私の場合は地震が起きてからだいぶ経過してから申請しました。基礎にひびが入ってるのは知っていましたが、こんなのが地震保険の対象になるとは知らなかったからです。まず、いつ気づいたかとなぜ今まで間が空いたのか?を聞かれると思います。参考までに私と調査に来てくれた鑑定人の人のやりとりです。細かい事は忘れましたが、大まかな流れです。
鑑定人「地震で被害を受けたと聞きましたが、その地震は〇〇地震ですか?。」
私「そうです。」
鑑定人「地震の発生していつに損害を確認されましたか?」
私「一週間後に確認しました。」
鑑定人「地震が発生してから今まで結構日が空いてますが、何か理由があったのでしょうか?」
私「基礎のひびが保険の対象になるって知らなかったので申請しなかったのですが、最近になり基礎のひびも保険の対象になるかもしれないと知ったので申請しました。」
鑑定人「それでは調査させていただきますので、また終わりましたら声かけさせていただきます。」
・・・・20分後ぐらい
鑑定人「終わりました。全体の7%の損害なので一部損ですね。また保険会社から連絡があると思います。」
とまあこんな具合でした。
基礎にひびが入った時の地震保険についてまとめ。
地震については無いに越した事はないのですが、地震大国である我が日本では避けて通れない道です。せっかく地震保険加入していても使わないのはもったいないですよね。ですので地震があれば安全が第一ですが、安全が確保できていれば、家をしっかり観察しましょう。そしてひび等が発生していないか確認しましょう。しっかり見ないと気づきにくいひびもあります。そしてひび等があれば地震保険の対象かどうかを確認しましょう。